桃源郷「花桃の里」
中央道の恵那山トンネルを抜けると園原インターがある。そこから昼神温泉と反対方向に車で十分ほどのところにぽつんと月川(げっせん)温泉がある。この辺一体は阿智村と呼ばれ鄙びた村落で、普段は何も見るものはないが、この時期のみは南信州の桃源郷と言われる様に5000本以上の花桃が咲き競いとても美しい景観となる。
花桃は花を楽しむために改良栽培された桃の園芸品種で実は小さく食用に適さないが、一本の木に赤白ピンクの八重の花びらの花が咲きとても美しい。また観賞できる期間が桜より長い。
なお「桃源郷」という言葉は別天地、理想郷、ユートピアと同意に用いられているが、中国の東晋の時代の詩人、作家である陶淵明(とうえんめい)が書いた「桃花源記」の中で川を遡り、誰も行った事のない洞窟を抜けると桃の花が咲き乱れる数百年もの間、戦乱や争い事から全く隔離された美しい平和な世界に出くわしそこを「桃源郷」と言ったことにはじまる。